既に日本には多くの訪日外国人が溢れかえっていますよね。日本政府はカジノを使えば外国からの観光客がもっと増えると予想しているようですが、具体的な戦略と、本当にカジノ効果があるのかどうかを分析していこうかと思います!
世界から見ると日本は観光国なのか?

まず、そもそも今の段階で日本の観光産業は世界的に見たらどのような立ち位置なのでしょうか?
新型コロナウイルスが流行する前のデータで、日本が受け入れた外国人観光客数は2019年で約3,100万人でした。ちなみに、2019年に世界で最も多くの外国人観光客を受け入れた国はフランスで、約9,000万人だそうです。
日本は2019年の外国人観光客を受け入れた国として、世界で第11位、アジア内では中国、タイに続いて第3位となっています。
他にも、観光客数だけではなく、経済の面からはかる観光収益についてのランキングですが、2019年に日本国内の観光産業での総収益は約460億ドル(約5兆円)で、世界ランキングでは第7位に位置しています。(ちなみに第一位はアメリカ、スペイン、フランス、タイ、イギリス、イタリアの順に続きます)
ここまでみると、日本って立派な観光国ではないかと思いますよね!観光客数も観光収益もランキングでは十分上位に位置しているし、ここから観光業をさらに伸ばすより、他の産業を頑張って利益を上げればいいんじゃないと思いますよね!
しかし、最後に重要なポイントが残されています。
それは、「果たして観光業がその国全体の経済利益の何パーセントを占めているのか」です。
少し深い話になってきましたが、簡単に言うと観光業の利益が国全体でどれくらい重要な利益になっているのかということです。
もしも、国全体の総利益のうち90%が観光業から支えられているのであれば、もうその国は観光業で成り立っている国です。そのため、観光がなくなった瞬間に国の経済も回らなくなってしまいます。逆に総利益の5%が観光業で生まれている利益であれば、正直観光業が無くなっても他の産業で国が回っているのだから、あまり経済的に必要とされない産業でもあります。
そこで、日本経済の中で観光産業の利益は、どのくらい支えになっているのでしょうか?
世界でアメリカ、中国に続き、第3位のGDPの高さを誇る経済大国の日本ですが、その中身を分析してみると、観光業の収益は全体の約0.5%にとどまっていることが分かりました。一番大きな割合を占めている業界が、製造業で全体GDPで約20%の収益を出しています。世界的にも日本車や日本製の家電などが広く普及していることから、日本経済にとって製造業はメインの支えられている業界であると言えます。
海外に目を向けてみると、観光業がその国のGDPを多く占める、つまり観光業がその国の主要産業である国として、フィリピン(全体の約24.7%)、モルディブ(全体の約20.2%)、タイ(全体の約19%)、フランス(全体の約9.7%)であることも分かりました。
GDP全体の1割でも、その1割が無くなってしまうと、その国の経済状況に大きな影響を与えます。そのため、観光業に支えられて成り立っていた国にとって、現代の新型コロナウイルスのパンデミックは、非常に深刻な問題です。日本の観光業収益がゼロになっても、全体GDPの約0.5%しか失われないので、他の業界でカバーができますが、全体のGDPの中で20%もの利益を失ってしまうということは、国の情勢としてはかなり危ない状況です。
そのため、これらの観光国と呼ばれる国は、既に条件付きで観光目的の外国人入国を認めて、観光業をスタートさせていますね。
日本の観光産業を成長させるために

ここまで解説してきましたが、日本の総GDPの内の約0.5%が観光収益でしたね。
つまり、日本政府は、この観光業をさらに伸ばすことが出来れば日本の経済はもっと豊かになると考えたのですね。その一つの戦略が、カジノを含むIR施設を建設することなのです。
近い未来、日本国内でIR施設が誕生したとき、どのくらいの利益が見込まれているのでしょうか?この予想も専門家がしっかりと計算済みです。
今のところ、日本国内で開設できるIR施設は最大3か所までと決められています。
外国人観光客をターゲットに運営される予定のIR施設ですので、訪日外国人の方に人気な都市を選ぶとして、関東に一つ、関西に一つ、また北海道や沖縄に一つ設置すると考えて、関東・関西の二つの施設で少なく見積もっても年間3000億円の利益を生み出すと予測されています。
これら二つの大都市のみではなく、北海道では年間最低でも500億円、沖縄でも約200億円の営業利益を出すだろうと見込まれています。
日本の観光業改善ポイントとして
そこで、最後になりますが今後の日本観光立国を目指すにあたって、2つの問題点があるといわれています:
・アジア地域以外からの外国人観光客の獲得
日本を訪れる外国人観光客の割合は、ほとんどが中国や韓国、タイやベトナムなどの東南アジア地域からが約80%だとデータで出ています。
ヨーロッパやアメリカなどの地域から訪れる訪日外国人の数を今後さらに増やすことができたら、旅行者の多様性を増やすという意味で、アジア地域からの観光客に依存しなくても良いことになります。
例として、タイの観光産業をみてみると、タイはアジア地域であるのにも関わらず、欧米からの観光客が非常に多い国とされています。同じアジア地域でこのような差がある理由としては、欧米から観光客が望むリゾート地や、観光国として英語などの語学の不自由さが挙げられています。
日本には、リゾート地が都心部から遠く離れており、街中の英語表記や、国民の英語力が他のアジア地域と比べると弱い傾向にあります。この点が、観光立国として改善していくべきポイントといえるのではないでしょうか?
・外国人観光客の訪問地域の偏り
東京や大阪、京都、北海道などの、外国人観光客から人気の都市と、その他の都市との差が広いとされています。特にこの3都市(東京、大阪、京都)だけでのホテルの稼働率が全体の約48%を占めているというデータから、ポジティブに考えると、逆に他の外国人観光客にとってマイナーな場所が今後伸びる可能性が含まれているというポテンシャルに繋がると考えられています。
今はまだ観光業の発展として、時期が悪い状況が続いていますが、新型コロナが流行する前に戻るまでの期間を観光業スタートの準備期間として多くの戦略が計画されています。早く私たちが海外旅行をしたいという気持ちと同様に、多くの外国人の方が日本へ遊びに行きたいと考えているに違いありません。
やはり、韓国や中国、台湾などの、日本から近い国の方々が、今後自由に海外旅行ができるようになったら最初にどこに行きたいというアンケートで、多くの方が日本だと答えているとのことです。海外旅行が解禁になる時まで、旅行費として貯金を頑張っていきましょうね!