ブックメーカーの利益に税金はかかるの?

スポーツ賭けのブックメーカーで勝ち取ることができた利益に「税金」はかかるのでしょうか。
結論から言うと、ブックメーカーの利益には税金がかかります!
ブックメーカーのみならず、日本の公営ギャンブルである競馬や競輪、競艇、オートレース、他にもパチンコやパチスロ、オンラインカジノなどといった全てのギャンブルには利益に対して税金が発生します。
よくある間違った知識として、「年間を通してマイナス収支だから税金は発生しない!」や「ブックメーカーの利益なんて脱税してもバレない!」などといった例が挙げられます。
しかし、ブックメーカーの税金は、例え年間収支がマイナスであっても過去に一度でも利益が出ていれば課税対象であり、ブックメーカーの利益は脱税してもバレないという事実は一切ありません。
つまり、1年間(1月1日〜12月31日)の期間内に一度でもブックメーカーで利益を得たプレイヤーは、翌年の2月16日〜3月15日までに行われる確定申告にて税金を申告する必要があるのです。
ブックメーカーで得た利益の計算方法について

ブックメーカーの利益の計算方法は、年間のトータル収支で算出するのではなく、的中ベットの利益額をもとに算出される仕組みとなっています。
例えば、年間300万円の利益を発生させたプレイヤーが、年間トータル収支はマイナス100万円だったとします。
この場合は、年間収支がマイナス100万円だから税金はかからないのではなく、年間300万円の利益に対して税金が課せられます
つまり、ブックメーカーの税金計算過程においては、負け金(ベット額)や年間合計収支は全く関係なく、勝利した際の利益額のみが課税の対象となる仕組みになっているのです。
- 年間利益額(勝利金=払戻金ーベット額):300万円【課税対象】
- 年間損失額(失ったベット額):-400万円【無関係】
- 年間収支額:-100万円【無関係】
このように、ブックメーカーで得た利益の算出は、単純に年間利益額を合計した金額であり、年間損失額や年間収支額は一切考慮されないのです。
また、米ドルやユーロなど海外の通貨で得た利益に関しては、利益確定時のレートで日本円に換算した金額を申告する必要があります。
年間収支がマイナスでも税金は発生する!
ブックメーカーの利益に対する税金は、1年間に得た利益額の合計に課せられることから、例え年間収支がマイナス1億円であっても税金は発生することになります。
少し納得できない話ではありますが、現在の納税の仕組み上、覆すことのできない制度として受け入れるほかありません。
2013年の馬券裁判について
2013年に判決が出たギャンブル史の歴史に残る「大阪国税局の馬券裁判」を知っている方もいるのではないでしょうか。
この馬券裁判は、2年間を通して28億7000万円の馬券を購入し、合計で30億1000万円の収支を得た会社員が被告となった裁判です。
馬券裁判では、検察側が主張した所得額約28億8000万円に対し、被告側は約1億4000万円(合計収支)の所得額を主張する争いの裁判が行われました。
結果、懲役2月・執行猶予2年の有罪判決が下された一方、申告すべき所得額については被告側の主張を全面的に受け入れるものとなりました。
つまり、外れ馬券が経費として認められた裁判となり、ギャンブルの事業性が認められた瞬間として大きな反響を巻き起こしたのです。
ただし、このようなケースは非常に稀で、娯楽や趣味の一環として競馬やブックメーカー、オンラインカジノを楽しんでいる方には当てはまりませんので、あくまで参考程度に頭の片隅に入れておいてください。
ブックメーカーの税金はどの所得分類に該当するの?

- 一時所得
- 雑所得
- 事業所得
3種類の所得分類を挙げましたが、ほとんどのブックメーカープレイヤーは「一時所得」とみなされます。では、上記3種類の所得分類について詳しく見ていきましょう。
『一時所得』に該当するケース
「一時所得」とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得とされています。
一時所得の代表的な例としては、以下のような所得があります。
- 懸賞や福引きの賞金品
- 競馬や競輪の払戻金
- 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等
- 法人から贈与された金品 など
※出典:「国税庁ホームページ No.1490 一時所得」参照
つまり、ブックメーカーを趣味や娯楽の一環として楽しんでいるプレイヤーのほとんどは、この「一時所得」に該当するのです。
『雑所得』に該当するケース
「雑所得」とは、給与所得や事業所得、配当所得、不動産所得などに当たらず、かつ一時所得にも当たらない所得とされています。
雑所得の代表的な例としては、以下のような所得があります。
- 公的年金等
- 非営業用貸金の利子
- 副業に係る所得 など
つまり、ブックメーカーの税金を雑所得に該当させるための難易度は非常に高く、馬券裁判でも紹介したように、大きな資金を継続的にベットする必要があり、かつブックメーカーを投資として運用していたという明確な証拠などが必要となります。
ブックメーカーの利益は絶対に雑所得には該当しない!とまでは言い切ることはできない現状にあるのは事実で、税の専門家である税理士などに相談することで、雑所得として認められるケースもあるようです。
『事業所得』に該当するケース
「事業所得」とは、農業や漁業、製造業、サービス業などを営んでいる人のその事業から生ずる所得とされています。
※出典:「国税庁ホームページ No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」参照
ブックメーカーの利益を事業所得として該当させるためには、事業として運用しているという決定的な証拠が必要となります。
これは非常に困難であり、税務署から認めてもらえる可能性は限りなくゼロに近いため、「一時所得」または「雑所得」として申告することが無難です。
ブックメーカーの税金の計算方法
では、「一時所得」と「雑所得」に分けて、税金の計算方法を詳しく見ていきましょう。
『一時所得』の計算方法
一時所得の税金は、以下の計算式で算出することができます。
- 一時所得の金額=総収入金額(払戻金)ー収入を得るために支出した金額(ベット額)ー特別控除額(最高50万円)
「収入を得るために支出した金額」とは、その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限る。と定められているため、ブックメーカーでは払戻金を受け取った時のベット額のみが対象となります。
例えば、年間100万円の利益を出したプレイヤーの年間収支がマイナス30万円であった場合でも、「100万円(利益額)」に対して一時所得の課税額が決定する仕組みになっているのです。
また、所得税の場合は「50万円」の特別控除が設けられているため、年間50万円に満たない利益額であれば所得税は発生しません。
ただし、住民税は年間の「合計所得金額」に基づいて算出される仕組みのため、50万円未満の利益であったとしても、確定申告は必要です。
実際の「所得税額」は、一時所得を含む1年間の全ての所得金額から各種所得控除(一時所得の場合は50万円)の額の合計を引いた「課税所得金額」に税率を適用して計算されます。
- 所得税額=課税所得金額×所得税率-控除額
所得税率および控除額は、課税所得金額によって以下のように定められています。
- 1,000円〜1,949,000円:税率5%、控除額0円
- 1,950,000円〜3,299,000円:税率10%、控除額97,500円
- 3,300,000円〜6,949,000円:税率20%、控除額427,500円
- 6,950,000円〜8,999,000円:税率23%、控除額636,000円
- 9,000,000円〜17,999,000円:税率33%、控除額1,536,000円
- 18,000,000円〜39,999,000円:税率40%、控除額2,796,000円
- 40,000,000円以上:税率45%、控除額4,796,000円
※出典:「国税庁ホームページ No.2260 所得税の税率」参照
例えば、課税所得金額が500万円の場合には、求める税額は以下のようになります。
- 5,000,000円 × 0.20 – 427,500円 = 572,500円
つまり、所得税額はブックメーカーの一時所得のみだけでなく、全ての課税所得金額によって計算する方法となっているのです。
『雑所得』の計算方法
雑所得の税金は、以下の計算式で算出することができます。
- 雑所得=総収入金額ー必要経費
雑所得の大きなメリットは、一時所得では認められていない「必要経費」を総収入金額から控除することができる点です。
ただし、そもそもブックメーカーを「雑所得」に該当できるか否かが難しいポイントであり、ある程度の投資や継続性、根拠資料などを準備しておかない限り、税務署から認めてもらうことはできないでしょう。
ブックメーカーの利益を雑所得として計上したい!とお考えの方は、まず税理士に相談することを強くおすすめします。
ブックメーカーで認められる経費について

『一時所得』の経費
一時所得で認められているブックメーカーの経費は、「勝利金を手に入れた時のベット額」のみです。
負けた時のベット額は経費として計上できませんので注意してください。
このように、ブックメーカーの一時所得の経費はあってないようなもので、勝利時のベット額のみが対象となることを覚えておいてください。
『雑所得』の経費
ブックメーカーの利益が雑所得として認められた場合、経費として計上できる幅が大きく広がります。
ブックメーカーの雑所得の経費には、以下のようなものが挙げられます。
- パソコン代
- スマホ代
- 通信費用
- Wi-Fi費用
- 情報収集に利用した本や有料サイトの費用 など
つまり、ブックメーカーをプレイする際に利用したもの全てを経費として計上することができるのです。
ただし、何度も言いますが、ブックメーカーの利益を雑所得として計上することが最大の難所ということを覚えておいてください。
ブックメーカーの確定申告のやり方

確定申告は、毎年2月16日〜3月15日の期間で行われており、前年の1月1日〜12月31日までの所得を申告する必要があります。
年末調整しかしたことがないというサラリーマンの方は、ぜひこの機会に確定申告のやり方を覚えておきましょう。
確定申告の仕方を覚えておくことで、脱税することなくブックメーカーを楽しむことができます。
ブックメーカーの確定申告の手順は以下の通りです。
- 青色申告書または白色申告書のどちらかを決める
- ブックメーカーの年間利益額を計算する
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する
では、上記の4ステップを詳しく見ていきましょう。
【ステップ1】青色申告書または白色申告書のどちらかを決める
確定申告書には、「青色申告書」と「白色申告書」の2種類が用意されています。
主な特徴は以下のようになっています。
青色申告
- 条件:その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を所管の税務署に届け出ること
- 税制:要件を満たし、青色申告の承認を得た場合は税制上の優遇措置がある
- 提出書類:確定申告書B、青色申告決算書、収益計算書など
白色申告
- 条件:なし
- 税制:税制上の優遇措置なし
- 提出書類:確定申告書B、収支内訳書のみ
このように、青色申告書は複雑な手続きが必要ですが、税制面での優遇措置があり、白色申告書は簡単な手続きで済ませることができますが、税制面での優遇措置が受けられないという点が最大の違いとなっています。
ブックメーカーを趣味や娯楽、小遣い稼ぎとして利用している方は「白色申告書」を提出するようにしましょう。
大半のプレイヤーは白色申告で大丈夫かと思いますが、投資や事業としてブックメーカーに参加している方は「青色申告書」にした方がメリットがあると思われるため、税理士に相談してみましょう。
【ステップ2】ブックメーカーの年間利益額を計算する
ブックメーカーの確定申告では、基本的に「一時所得」に該当するため、必要な情報は年間利益額のみです。
年間利益額とは、1年間(1月1日〜12月31日)の期間内に獲得した払戻金から対象のベット額を控除したものです。
ハズレたベット額は控除することはできず、勝利金を獲得した時にベットした金額のみが控除対象となります。
各ブックメーカーサイトでは、過去のベット履歴や払戻履歴を確認することができるため、勝利した際の払戻金およびベット額を確認し、年間利益額を算出しましょう。
【ステップ3】確定申告書を作成する
年間利益額を計算することができたら、いよいよ確定申告書の作成です。確定申告書は、画面の案内に沿って金額等を入力するだけで作成することができる「確定申告書作成コーナー」の利用をおすすめします。
確定申告書作成コーナーでは、所得税の確定申告書や青色申告決算書、収支内訳書などを作成することができ、作成した申告書等のデータを保存しておけば、翌年の申告時に読み込んで活用することもできるため非常に便利です。
ただし、申告書の作成方法が全くわからない方や税務署で説明を聞きたいという方は、所管の税務署に足を運び、確定申告書を作成することもできます。
【ステップ4】確定申告書を提出する
作成した確定申告書の提出方法は、以下の3つです。
- e-Taxで送信
- 郵送
- 窓口へ持参
上記の中でも、特におすすめなのが「e-Taxで送信」する提出方法です。
e-Taxとは、税務署に出向くことなく、インターネットを利用して申告や納税などの手続きを行うことができるサービスです。
つまり、確定申告書作成コーナーで作成した申告書をそのままe-Taxで送信することで、迅速に申告手続きを済ませることができるのです。
税務署に行く必要なく、自宅で完結する「確定申告作成コーナー」と「e-Tax」は、ブックメーカーユーザーの最大の味方ではないでしょうか。
ブックメーカーの節税対策4選!
ここでは、ブックメーカーの節税対策を4つ厳選してご紹介していきます。
ただし、いずれの節税方法も「グレーゾーン」であることを認識しておいてください。
基本的には、ブックメーカーで利益が発生した金額の全てを翌年の確定申告時に申告することが原則です!
節税方法①ブックメーカーサイトから出金しない
ブックメーカーアカウントからお手持ちの銀行口座へ出金しない限り、税務署はプレイヤーの利益を確認することができません。
つまり、ブックメーカーで勝利金を獲得したとしても、アカウント内に所持している状態のままにしておけば、節税対策になるのです。
また、一時所得の特別控除額が50万円となっているため、年間50万円未満に出金額を抑えることで、税金を発生させないようにすることもできます。
節税方法②仮想通貨ウォレットへ出金する
ブックメーカーの利益額を銀行口座へ出金するのではなく、仮想通貨ウォレットへ出金することで、「雑所得」に分類することができます。
なぜなら、銀行口座へ着金した経由がブックメーカーサイトからではなく、仮想通貨ウォレットとして判断されるためです。
また、仮想通貨ウォレット内にお金を入れておく限り、税金が発生することもありません。
さらに、雑所得として計上することで、パソコン代や通信費用、分析費用などの必要経費を収入から控除することも可能となります!
節税方法③プリペイド式デビットカードへ出金する
仮想通貨ウォレットへの出金と同じような方法に、プリペイド式デビットカードへ出金するという方法があります。
プリペイド式デビットカードとは、電子決済サービスが手がけているチャージ式のカードです。
現在、ブックメーカーサイトから出金できるプリペイド式デビットカードを取り扱う電子決済サービスには、「STICPAY(スティックペイ)」と「TIGER PAY(タイガーペイ)」があります。
このどちらかのeウォレットへ登録し、プリペイド式デビットカードへ出金手続きを行うことで節税対策に繋がります。ただし、カードから銀行口座へ出金する際には税金が発生します。
節税方法④ブックメーカーの利益を雑所得として計上する
基本的に、ブックメーカーの利益は「一時所得」に該当されますが、稀に「雑所得」として承認されるケースもあるようです。
例えば、ブックメーカーを投資として継続的に収益を得ている方や仮想通貨ウォレットを経由した出金などがこのケースに該当します。
ブックメーカーの利益を雑所得として計上することができれば、様々な費用を経費として控除することができ、大きな節税効果を上げることができます。
ただし、趣味や娯楽として楽しんでいる通常のブックメーカープレイヤーは、雑所得として計上することはできません。
ブックメーカーの税金を会社にバレないようにする方法は?
ブックメーカーの税金を会社にバレないようにする方法は、非常に簡単で、住民税を自分で納付するように手続きするのみです。
住民税を自分で納付するためには、確定申告時に住民税を「特別徴収」にせず、「普通徴収(自分で納付)」にすることです。
特別徴収にしてしまうと、給料から天引きされるため、勤務先の人事の方などにバレてしまいます。
しかし、普通徴収にすることで、追加分の住民税を自分で支払うことができ、勤務先に一切バレることなくブックメーカーの利益を納税することができます。
ブックメーカーの税金まとめ
ブックメーカーで得た利益は全て確定申告をして、納税する必要があります。ブックメーカーは基本的に「一時所得」に該当し、50万円の特別控除が適用されるため、50万円未満の利益であれば所得税に対しての税金は発生しません。
ただし、ブックメーカーの利益とは、勝利した際のベット額を控除した払戻金の合計であり、負けた際のベット額は一切控除されません。
これにより、年間収支がマイナスのプレイヤーであっても、勝利した合計金額が50万円を超えていれば所得税を納めなければならないのです。
また、よく50万円未満の利益を得ていないプレイヤーは申告しなくてよい!と思われがちですが、住民税は合計所得金額をもとに算出されるため、例え50万円未満の利益であっても申告する必要があります。
「ブックメーカーの税金」と聞くと、難しい印象を持つ方が多いと思いますが、『一度でも利益が出た場合は申告の対象』であり、現在は『ネットで簡単に確定申告を行うことができる』ということを覚えておくだけで大丈夫です。
しっかりと納税を行い、正々堂々とブックメーカーを楽しみましょう。